コラム

心から放つ波動砲

陽子がどのようなもので出来ているのかを調べるひとつの手法として、加速器で加速した陽子同士をぶつけると言うやり方があります。この素粒子物理学で用いられる方法は組織や個人がどのような考えの組織(個人)なのかを知る上でも応用できると思っています。

もちろん、人と人をぶつけ合うと言うことではありません。質問をぶつけることで普段考えないことを考えてもらったり、やってもらったりするのです。その結果をよく観察することによって、普段見ることのできない、その組織や個人の姿が見えてくると思っています。

自分は、朝礼で大勢の人たちに対して考えるきっかけになる話をしていました。一方的に話をするだけでなく、相手がそれに対してどのようなことを考えたかをアンケート形式で聞き取っていました。もともとは言いたいことが伝わったかどうかを確認するために行っていたアンケートでした。

しかし、このことを繰り返すうちに面白いことに気付きました。普段仕事で話をするだけではわからない自分の組織の姿が見えるようになってきたのです。自分が統括している組織がどのような考えの個人から成り立っていて、全体としてどのような集団となっているのかを少し違った方法で把握できていた気がします。

電車の点検で車輪などをハンマーで叩いて音を聞くことによって異常がないかを確認します。それに似た感覚です。打てば響くその反響音を手を替え品を替え確認してました。

受け持つ組織が大きければ大きいほど、この考えは役に立つのではないかと思います。少人数の場合には、一人ひとりと話をすれば良いのですけれども、100名を超える大人数になってくるとそうもいきません。結果として、組織を俯瞰して見て、それを組織の姿と捉えてしまうことになりかねません。したがって、ここに述べたやり方で組織のもうひとつの姿を知ることは業務を遂行する上でも役に立ちました。

会社を辞めた今、ここで言う「組織」を、「自分が存在しているこの社会」と置き換えて考えると、同じようにこの方法を活用することができるのではないかと思っています。

テレビで言っていることに対して、自分の考えをぶつけることはできません。したがってテレビしか見ていなかった時代には無意識のうちに受け身になってしまっていたように思います。

しかし、SNSが普通に活用されるようになった現在では、ネットで流れている意見に対して自分の意見を発信する場があります。このようにブログで自分の意見を発信することもできます。自分の意見を社会にぶつけることによって、相手の考え(社会の意見)をより深く理解することができるのではないかと思っています。そう言う意味ではネットを活用できる今の時代に育つ若者は、テレビしか無かった時代に育った我々の世代とは別の形で社会と(同世代の人たちとと言った方が良いかもしれません)深くつながっているのでしょう。

目の前にあるものをじっと黙って見つめるのも良いけれど、いろいろいじって見てみると(ぶつけてみてみると)今まで気づかなかったことに気づくかもしれません。

当たり前だと思われるかもしれませんが、その本質に意外と気づいてないのではないでしょうか。

そんな、難しいことを言っているのではありません。例えば、お店でランチをご馳走になったら「ありがとうございます」や「おいしかったです」と言う感謝の気持ちをお店の人に伝えるだけでも、そのお店の本当の姿勢というのが伺えるのではないかと思っています。

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