つぶやき

万年から億年へ

須佐ホルンフェルス 2021年3月24日撮影

10代の頃、自分にとっての時間の単位は秒分時日年でした。日常この単位を使うことによって時間をその意味だけでなく感覚的に捉えることが出来ていました。

20代から30代の頃、ディジタル回路を扱うようになり1秒の1/1000であるmsecと言う世界を超えて、さらにその1/1000であるμsec、そのまた1/1000であるnsec、さらに1/1000であるpsecの世界を知るようになりました。これらの単位は計算に用いたり測定器で測ったりするうちに自然と感覚的なものとなりました。

40代の頃、技術職から管理職にウエイトを置くようになり、億円と言う単位を使うようになりました。万円までは感覚的にわかっていたものの億円は意味は分かっていても感覚的にはなかなかわかりませんでした。例えば、50億円の予算をもらってもそれがどのくらいの金額なのか直感としてわかりませんでした。また年末になって使い切ると言って、いざフタを開ければ数億円が余って経理に怒られても、それがどう言うことなのかわかっていませんでした。今、振り返れば大変なことなのですが…。金額が大きすぎて金銭感覚がそこまでなかったのです。

50代になって億円も感覚でわかるようになってから会社を辞めました。悲しいかな、もう円としては縁のない単位なのだろうと思います(笑)

そして、今、時間の単位として万年や億年といった単位を扱うようになりました。億円を使うようになった時の感覚と非常に似ていて、それがどれだけの期間なのかピンときていません。

感覚的にわかるのは2,000年くらい前まで(それでも何となく)で、数万年と言われるとわからなくなってしまいます。

ヒスイに興味を持った結果、いろいろな石の魅力を知ることができました。そして、その興味は石を含む地層におよび、その地盤の成り立ちにまで広がりました。

自分が住んでいるところがフォッサマグナの上にあることからこの辺りの地盤は1,600万年より若い地層であること、一方で富山県、石川県は日本でも最も古い2.5億から20億年前の地層の上に成り立っていることを知りました。日本には場所によってまったく違う年代の地層があります。

日本のことを知りたいと思う気持ちは、人や景色だけでなく、この日本列島そのものにまで広がりました。

人類の祖先が誕生したのが700万年前(現生人類は20万年前)で、先日河原でアンモナイトを探すために、ぱかんと割った石が2億年前の石なのです。日本列島が大陸から分離したのが1,700万年前と言われているので、それよりはるか昔の石なのです。自分がいたからこそ、その石の割れた断面は2億年ぶりに日の目を見たのです。とてつもなく凄いことをした気がします。

冒頭の写真は須佐ホルンフェルスです。ここを見た時、単なる美しい岸壁としか見えていませんでした。しかし、写真にある濃淡の美しい観光名所は須佐ホルンフェルスの最端部(つまり一部)でしかなかったのです。須佐ホルンフェルスのすごいところは泥砂交互層がマグマの高熱で変性し接触変成岩になった、その時の温度の違いによる変性の過程を観ることが出来るところであり学術上も貴重な場所なのです。

そう言う目で、もう一度じっくりと観に行かねばなりません。万年、億年という感覚を身につけてです。

しかし、自分の人生は長くてもたったの数十年しかありません。万年、億年からすれば、psecといった感じの短い時間なのだと思います。やるべきことを選んでやるようにしなければ人生あっという間に終わってしまうなと思ったのでありました。

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