石の博物館はとても面白い
石の魅力に取り憑かれて3週間ちょっとしか経っていないのですが、すでに石に関係する博物館をいくつか観て回りました。
- 糸魚川フォッサマグナミュージアム
- 野尻湖ナウマンゾウ博物館
- 上田市立博物館
- ミュージアム鉱研 地球の宝石箱
いずれも、石に関する展示ブースがある楽しい博物館でした。
いいこと考えた!
この中の野尻湖ナウマンゾウ博物館で石を観ていた時のことです。
冒頭の写真の中にあるヒスイ輝石の説明を見ていたら次のように書いてありました。
ジルコン(短波紫外線で橙色の蛍光を発する)
上に載っているヒスイが邪魔になってよく見えないのですが、ジルコンを含んでいて短波紫外線を当てると橙色に光るというようなことが書いてあるように取れます。
これは、「もしかしたらヒスイを見分けるためのよい方法になるかもしれない」と気づいた自分はワクワクした気持ちが抑えられませんでした。
たとえば、真っ暗な夜にヒスイ海岸で短波紫外線を発するライトを使って浜辺を照らすとヒスイだけが橙色に光る。そして、がっぽりとヒスイを採ってニヤニヤしている自分がそこにいる。
そんなシーンを思い出してはニヤニヤしていました。
待望の大実験
そして、チャンスは2日後に訪れるのでありました。
長野県塩尻市にある「ミュージアム鉱研 地球の宝石箱」に行った時のことです。たまたま訪問客が自分たちしかいなかったこともあり、館長がいろいろ相手をしてくださいました。
自分「実は、ヒスイに短波紫外線を当てるとそこに含まれるジルコンが橙色に光ると言うのを見たのですが、そうですかね」
館長「んーーー?」
自分(やっぱ、ダメか)
館長「やってみますか? 短波紫外線ライトありますよ」
自分「おーーー、やります。」
しばらく待っていると館長が奥から持って来られました。これは普通の紫外線ライト(365nm)です。石はヒスイではありませんが橙色に光っています。
こちらは、短波紫外線のライトです。写真のピントがボケていますが青く光っているところがあります。この短波紫外線のライトとヒスイをお借りして暗いところで観てみました。
ついに、世紀の大発見!
と思いきや青く光る部分が少しあるだけで、橙色には光りませんでした。
(夢中になり過ぎて写真を撮るのを忘れました)
大きな勘違い
なぜだろう?
家に帰って、いろいろ調べていくうちに大きな勘違いをしていることに気がつきました。
- 岩石と鉱物
- ヒスイとヒスイ輝石
- 多結晶と単結晶
これらの違いを理解しないままヒスイを(漠然と)認識していました。
- ヒスイは多結晶(単結晶の集合体)でいわゆる岩石である
- ヒスイ輝石は単結晶で鉱物である
- ヒスイはヒスイ輝石を多く含む岩石のことである
- ヒスイ輝石が100%のヒスイは自然界には存在しない
ヒスイを純粋なヒスイ輝石の塊のようなイメージで考えていました。大括りでは間違ってないのですがヒスイを科学的に、しかも簡易的な方法で識別したいと思っている自分にとっては大きな勘違いでした。
また、ジルコンは1mm以下の茶色い粒としてほとんどの岩石の中に含まれており年代測定に利用できるものであることも知りました。
フォッサマグナミュージアムの壁にかかっていた資料を再度写真で見返すと「糸魚川のヒスイが5億年前のものであることをジルコンを使って調べた」と書いてありました。しかも、ちっちゃなジルコンの写真まで載っていました。
興味がない(少ない)と大事なことが書いてあっても目に止まらないものだというのがよくわかりました。
まとめ
今回の試みの結論を述べますと「短波紫外線はヒスイ探しの助けにはならない」です。専門家の方が見られたら、アホやないかと思われるかもしれませんけれど、アホです。
しかし、ミュージアム鉱研で検討させていただいたおかげで、短波紫外線ライトを買おうかどうしようか迷わなくて済みました。ちなみに、鉱物鑑定用の短波紫外線のライト(255nm)は3万円くらいします。とてもちょっと検討のために買ってみようという価格ではありません。
いろいろ思いを巡らすうちに、自分の家にも短波紫外線を出す装置があることに気付きました。娘からもらったマスクの殺菌器についている紫外線LEDは、265〜285nmの短波紫外線を発します。可視光カットフィルタがついていないので鉱物検討用として使えるのかはわかりませんが遊んでみたいと思います(笑)
意志(石)あるところに道は拓ける
つづく