比重を測定しようと思ったきっかけ
ヒスイ暦3週間にも満たない自分にとって、本物のヒスイを見分けることは至難の業です。ヒスイ探しをやっている時も何度も違う石を拾ってしまいました。間違った石を拾っているうちに、だんだんわかるようになるよと言われています。
確かに始めた頃に比べれば、少しはわかるようになってきたものの、まだまだ見分ける力はついていません。そのため、それらしい石を見つけては鑑定をしていただける方に見てもらうという作業が必要になります。
少し失礼な話なのですけれども、鑑定をしていただいてヒスイか否かを判定してもらっても、その結果が本当に合っているのか検証する術がありません。信じるしかないのが悲しいところです。
そこで、なんとか科学的に識別する方法はないのだろうかとずっと考えていました。その結果、完璧ではないものの比重を測るということを思いつきました。
ヒスイの比重は3.25 – 3.35です。ヒスイによく似ているロディン岩の比重も同じくらいなのでロディン岩との区別はできないものの、自分がよく間違える石英(2.7)や曹長岩(2.62)との区別はできそうです。調べると、この方法は当たり前に行われていることでした(笑)
測定結果
比重の測定には冒頭の写真の3つの石を使用し、水の中に宙吊りにするアルキメデスの原理を使用した方法を用いました。
試料1:検討用に購入したヒスイ
今回ひとつもヒスイを見つけることができませんでした。そのため、今後の検討のため、およびずっと観ていれば目が慣れて本物がわかるようになるに違いないと思ったことから(悔しさを堪えて)売っているヒスイを500円で購入しました。(長さ 38mm)
なるほど、ヒスイの表面はこうなっているのかなど毎日触ったり眺めたりしてました。
ヒスイの重さを測りました。14.98gでした。
次に、水を入れたビーカーを載せた状態をゼロとして、その中にヒスイを入れ宙吊りにしました。この数字は、この大きさの試料は比重が1だったら5.52gですよということを示しています。よって、先ほどの重量を割ればこの試料の比重がわかります。
14.98g÷5.52g=2.71
なんじゃ、こりゃ。
ヒスイじゃないじゃん!
石英じゃねーか。
ちょっと、取り乱してしまいました。500円で買って毎日愛でた石はどうやら石英だったようです。なんだよ、毎日石英を眺めてたのかよ。(落ち着け!)
よく観れば石英のように見えます。もう、どう見ても石英にしか見えなくなってしまいました(笑)
試料2:ヒスイハンターからいただいた石
仲良くなったヒスイハンターの人から「これは海岸の鑑定おじさんからヒスイではないと言われたものの、自分はヒスイだと思ってます。差し上げますからフォッサマグナミュージアムで鑑定してもらってください」と言っていただいたものです。(長さ 25mm)少し緑色が混じっていて、自分もヒスイと信じて疑いませんでした。
その後、フォッサマグナミュージアムの学芸員の方に診ていただいた結果、石英という判定をいただきました。自分の次に鑑定してもらいに来ていた愛好家の人の石はヒスイという結果をもらっていました。そのヒスイ暦3年の愛好家の人も、自分のこの石はヒスイじゃないと思うよと言われ、なぜヒスイではないと思うかを細かく教えていただきました。
だが、しかし、所詮は人の目なのであります。間違いというものがあるかもしれまん。淡い期待をかけて比重を測定してみました。
結果は、6.00÷2.12=2.83でした。石英ですね。それに少し比重の思いものが混じっているのではないかと思います。そう言えば、ヒスイハンターの人が海岸の鑑定おじさんに診てもらっている時に「んー、混じってんなー」と言われていたことを思い出しました。その時は、「なんだ? 混じってるって」と意味が分かりませんでした。それにしても目で見ただけで混じっているのがわかるなんて、さすが鑑定おじさんです。
試料3:別のヒスイハンターからいただいた石
毎日、朝から夕方まで朝日町のヒスイ海岸でヒスイを探していて、今度朝日町に引っ越してくると言われていたハンターの人からいただいた石です。ヒスイの探し方を、いろいろ教えていただいて、最後に「青みがかった白」を探すようにアドバイスをもらい別れました。その後、100mくらい先で何か拾われているなと思っていたら、そこから戻って来られて拾った石を「ヒスイではないかもしれないけれど、青みがかった白の色見本としてこのような色です」と言っていただいた石です。その後、海岸の鑑定おじさんからヒスイと言われました。(長さ 13mm)
ちょっと試料が小さいのですが測ってみました。
1.13÷0.43=2.63
あれ、これもヒスイじゃないじゃん。
まとめ
そのようなわけで、我が家にはヒスイがひとつもないという結果になってしまいました。
試料1は、500円で買ったヒスイですけれど偽物でした。しかし、ネガティブなことは書かないブログ「やまとペディア」としては、この石を「他山の石」と呼ぶことにしました。つまり、他山の石以て玉を攻むべし(よその山から出た粗悪な石も自分の宝石を磨くのに利用できる)ということで、ヒスイではない石を見分けるためのよき材料とすることにしました。
試料2は、非常に優しいヒスイハンターのお兄さんがヒスイと信じてプレゼントしてくれたものなので、それがヒスイでないとしても自分たち夫婦にとっては大切な思い出の石であることに変わりありません。
試料3は、もともとヒスイではないかもしれないけれどということでいただいた色見本なので、その通りなのですが、小さ過ぎて鑑定おじさんがヒスイと判定したことから期待してしまいました。青っぽい白がいまだによくわかっていませんので、毎日眺めて青っぽい白がわかるように努力します。
今回の比重測定は、以上の結果となりましたけれども、ヒスイの比重を測定することが判別に寄与する有力な1手段であることがわかりました。
以上、お付き合い頂きありがとうございます。
なかなか面白い結果です。笑っちゃいました。
お笑いでやっているわけではないんですけどね(笑)