旅に出ると、誰しも美味しい料理を食べたいと思うものです。
しかし、お店に入って、たくさんの料理がメニューに並んでいると、どれを食べてよいのか迷ってしまいます。そんな時、
「当店一番人気」
そう書いてあると、きっと美味しいに違いないと思い、それを注文してしまいます。その結果、アタリの時もあれば、ハズレることもあります。
味は、好みの問題なので人それぞれなのですが、まれに、これはどうみても一番人気じゃないだろうと思うことがあります。
どうして、このようなことが起きるのでしょうか。
一番人気と書けば、初めて来る人は、(自分と同じように)それが美味しいに違いないと思って注文します。美味しいかどうかに関係なく、その料理が一番人気になることに貢献したことになります。つまり、その一番人気の正体は一番注文が多いということであって必ずしも美味しいということではないのです。
常連客が多いお店の場合には、そのようなことは起こりにくいと思いますが、観光地など初めての人が多いお店では、味とは別の要因で注文が集中する料理(=いわゆる一番人気)が出来る可能性があります。
例えば、お店にとって売りたい料理があって、それを一番人気と言ってしまえば、結果として、それを見た人が注文し、結果一番人気が出来上がってしまうこともありえます。
その美味しい料理は、お客にとって美味しい料理ではなく、お店にとって原価が安く、利益の高い、いわゆる「おいしい料理」なのかもしれません。
このことは、何も料理に限った話ではありません。一番人気という(あるいは、それに類する)レッテルを貼ってしまえば、あとは群衆が、それに追従して結果一番人気が出来上がる、そんな社会になってはいないでしょうか。
要は、何をするにも自分の頭でよく考えて決めないと駄目なんだなぁと改めて思っている次第であります。
お断り:「一番人気」を教えてくれるお店がすべて怪しいと言っているわけではありません。美味しくて人気のある料理を親切に教えてくれるお店もたくさんあると思います。そのようなお店には、感謝したいと思っています。