2月5日に埼玉県行田市にある忍城(おしじょう)跡を訪問しました。その時点での自分の知識としては、石田三成に水攻めにされた城で、城主がでくの坊であったことから「のぼう様」と呼ばれていたという程度の知識しかありませんでした。ただし、その人柄から領民から絶大なる人気を得ていたことには興味がありました。
忍城櫓に使用されていた石垣
この忍城は明治6年(1873年)に廃城となり、今では石垣や土塁を少し観ることが出来るだけで、当時の姿を偲ぶことは出来ません。
この忍城の城主を努めた「のぼう様」(成田長親)に興味がありましたので、この忍城を題材にした「のぼうの城」(和田 竜 著)を読みました。ものすごく面白かったです。これまで多くの素晴らしいリーダーを見てきましたが、「のぼう様」は、その誰とも違うタイプのリーダー(いやリーダーと呼んでよいのか疑問ではありますが)でした。
映画「のぼうの城」も観ました。原作に忠実で(ただし、ところどころカットされている)面白かったです。とは言うものの、やはり原作の方が面白いです。原作に出てくる「のぼう様」は、大男ででくの坊なのですが、その役を野村萬斎さんが演じられていました。少し自分が抱いていた「のぼう様」のイメージと違っていました。
今まで歴史小説は、ほとんど読んでこなかったのですが、歴史に関する知識を深めるために、これから史実に基づいて書かれている歴史小説を読んでいくのも悪くないなと思いました。ただし、歴史小説は史実に基づいて書かれているとは言え脚色をしてあるものです。したがって、史実と思われていることと作者が脚色したことをきちんと検証しておくことも大事だと思っています。
たとえば、
- 「のぼう様」とは、のぼうの城の原作者である和田 竜氏が付けた名前っぽいです。
- 水攻めは豊臣秀吉の備中高松城水攻めに影響された石田三成がこだわって実行したことになっていますが、実際には豊臣秀吉の支持にしたがっただけのようです。むしろ、石田三成は地形を見て、その実施には反対をしました。水攻めの際に石田三成が陣を張った丸墓山古墳や石田三成が築いた堤の一部は残っています。
他にもありますが、ネタバレになりますので、これくらいにしておきます。
石田三成が陣を張った丸墓山古墳
水攻めのために築いた石田堤の一部
この小説、面白いです。おすすめです。
もう一度、行田市郷土博物館に行って「中世の行田」コーナーを観てみたいと思っています。前回の訪問時は、その資料の価値がまったく分かっていませんでした。もったいないことをしました。