つぶやき

四国の石ころ

産総研地質調査総合センター
20万分の1日本シームレス地質図より引用

八釜の甌穴で拾った石灰岩です。八釜の甌穴はフリント質角岩でできていると現地の看板に書いてありました。そのサンプルを拾ったつもりでした。フリント質角岩は石灰岩に似ているのだなと思っていました。家に帰ってきてフリント質角岩を調べてみると、チャートの一種でした。チャートは二酸化ケイ素をベースとする堆積岩であるのに対して、石灰岩は炭酸カルシウムを多く含む堆積岩なので違う石を拾ってきたことになります。

確かに八釜の甌穴の岩は硬そうです。この八釜の甌穴は愛媛県の中央で、高知に近い久万高原町にあります。ここは中央構造線の外帯(南側)に接する三波川変成帯(さんばがわへんせいたい)にあたり、低温高圧型の変成岩が分布する地帯になります。なぜ、自分はここで石灰岩を拾ってきたのだろう、そもそも、石灰岩もチャートも堆積岩で、なぜ変成岩が分布するところに、これらの石があるのだろうという疑問から、この石の生い立ちを想像してみました。

今から時を遡ること3億年くらい前の話、南の大海にある火山島の周りにあるサンゴ礁や貝が1年に数センチといったスピードで陸地へと動いていきました。その後、玄武岩を母体とする火山島は海溝に沈んでしまう部分もあれば剥がれて大陸側のプレートに乗っかるもの(付加体)もありました。約1億年くらい前の話です。

この付加体は、約1700万年前に大陸から離れ日本列島となりました。その一部がこの石ころ(石灰岩)と言ったところでしょうか。

ところで、チャートは、燧石(ひうちいし、火打ち石)としても使用されていました。鉄に打ち付けることにより鉄が削れてその粉が摩擦熱で燃えて火の粉になります。

徳島県徳島市にある阿波史跡公園で拾った緑色片岩です。

徳島市には、いたるところに緑色片岩があります。

庭石などに活用されていたり、地面に転がっていたりしています。約1億年くらい前に海溝に沈んでしまった玄武岩は、低温・低圧のもとで広域変成作用を受けた後、地殻変動で地表に出てきました。これを拾ったものだと思います。それにしても美しいですね。

香川県坂出市にある五色台展望台で拾ったサヌカイト(非顕晶質古銅輝石安山岩)です。通常の安山岩や玄武岩に比べて斑晶が少ない火山岩です。博物館に置いてある石琴(叩いてカーンと音が出る石)が、このサヌカイトです。

日本列島が約1700万年前に大陸から離れた後、瀬戸内海地域で約1300万年前におきた火山活動によってできた物と考えられています。

古銅輝石安山岩は、世界でも香川県坂出市や、大阪府と奈良県の一部でしか産出されない珍しい石です。その中でも石基中に含まれるガラス質が多く、叩けば響く音を出すサヌカイトは、ここ五色台にしかありません。探すのに苦労するのだろうと思って行ったのですが、サヌカイトがゴロゴロ落ちていました。というよりサヌカイトでできた山でした。

これは、四国ではなく岡山県新見市にある井倉洞で拾った石灰岩です。今回の石の中で最も古い3億年くらい前に形成された石です。ぱっと見て石灰岩とわかる石ですね。ただし、これに似た半深成岩の石英斑岩があります。今度、石英斑岩も拾ってきて比較のために酸をかけてみたいと思います。それにしても3億年くらい前ということは爬虫類や哺乳類の祖先が出現した頃です。すごいです。

最後は、持ち帰り禁止のため拾ってくることはできなかったのですが、ラパキビ花崗岩です。

日本では珍しく、ここ高知県足摺岬のアロウドの浜でしか観ることが出来ません。高知県の「県の石」にも定められている貴重な岩石です。ラパキビ花崗岩は、主に北欧など大陸に分布しています。大陸のラパキビ花崗岩は十数億年前と、とても古い時代にできたものですが、足摺岬のものは約1,300万年前と、世界一新しいと言われています。白い斑点がラパキビ長石です。

ただ単に石を観るだけでなく、その石の成り立ちを考えてみるのも面白いです。

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