コラム

他人は他人(ひとはひと)

写真は伊東市初日の出を愛でる人々 2019年1月1日

先日、「腹かいたら損」と言う母の名言を紹介しました。母の名言は他にもあります。

「他人は他人(ひとはひと)」と言う言葉です。

自分が子供の頃、我が家はさほど裕福ではありませんでした。したがって、友達が何か買ってもらったので自分も同じものが欲しいと言っても簡単には買ってもらえませんでした。その時に母が言う言葉が「ひとはひと」と言う言葉です。何回聞いたか分からないくらい聞いています。この言葉の後には(自分は自分)と言う言葉が省略されているのですけれども「他人のまねをするな」とか「他人と自分を比べてものを言うな」と言うことなのです。今になって考えると「お金がないので買えない」と言わないところがさすがだと改めて思います。

おかげで、他人と同じ生き方をするのが嫌いな性格に育つことができました。改めて母に感謝したいと思います。

ところで、この「他人と自分を比べない」と言う考え方は非常に大事なことなので以下に紹介します。

会社で仕事をしていると自分の能力に自信がなくて落ち込んでいる人をたまに見かけることがあります。わかりやすくするために物語風に話をしましょう。

A君は会社に入社したばかりの新人です。A君は仲の良いB君や多くの新人たちと楽しく会社生活をスタートさせました。しばらくするとそれぞれの職場への配属も決まりA君はB君と違う職場で働くことになりました。

それからしばらくの間、2人は会うこともなくそれぞれの職場で業務に専念します。1年が経った頃、A君はB君と出会います。A君はそこでB君の成長ぶりに驚きます。つい1年前まで同じレベルだったB君とは思えないほど成長をしていました。B君の成長を見たA君は自分が1年前とさほど変わっていないことに焦りを感じてしまいました。すぐにでもB君並みの仕事をこなそうとしますができません。A君はすっかり自信をなくしてしまいました。

この時にどう言うことが起きているのかを喩え話で解説しましょう。2人の成長をビルを登ることに喩えると2人が入社した時は2人とも1階にいました。そしてそれぞれの職場で仕事をし1年後に出会った時、A君は2階で手を振るB君の姿を目の当たりにします。A君は焦って2階にジャンプしようとします。1階から2階にジャンプ出来る人などいないのに、できない自分に対してA君は自信をなくしてしまいます。

これは当たり前の話であってB君はいきなり2階にジャンプしたのではなく時間をかけて階段を登った結果2階にいるのです。A君も階段を使って登れば2階に到達できるのです。しかしA君には2階にいるB君しか目に入らないのでそれがわかりません。

会社にいた頃、こう言ったケースをたまに目にしました。他人と比べて自信をなくしてしまうと言うことはありがちな話です。そもそも他人と比べること自体がおかしいと思います。そう、他人は他人、自分は自分なのですから。

 人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである。

他者の評価を気にかけず、他者から嫌われることを怖れず、承認されないかもしれないと言うコストを支払わないかぎり、自分の生き方を貫くことはできない。

アルフレッド・アドラー

 

誰かがあなたについてどう思おうが、それは自分の問題ではなく、相手の問題だ。

「相手が自分をどう思っているのか」なんてことに関わり合って、自分の人生がなおざりになるなんて、本当にもったいないと思う。

堀江貴文

 

人生は固定概念を習う時間ではない。自分が生きていく時間であり、自分が生きていく場だ。頭と行動を固定概念で染めてしまうと、自分はいなくなる。自分の中に古い他人がたくさん詰まっているだけだ。そんな人に個性などないのも当然だ。

フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ

 

他人は他人(ひとはひと)

ちなみに、他人がどう思うか気にする必要はないけれど、相手の立場になって考えることは必要なことです。この2つは似ているようだけれど全然違います。

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