つぶやき

神々の乱心

旅をしていない時には、さまざまな分野の本を読んでいます。ただし、最近読むようになった歴史小説を除いて小説はほとんど読みません。

そんな僕が、松本清張氏の「神々の乱心」を読みました。

それは、旅先で出会ったある人の一言に興味を持ったからです。

令和5年(2023年)9月10日に訪れた伊都国歴史博物館での話です。お年を召された女性のガイドさんが説明をしてくださったのですが、どうせ説明するならと近くにいた男性の方にも声をかけられ、一緒に周ることになりました。

ところが、その男性の方が、すごく詳しくてガイドさんの説明は、すべて知っていて追加で補足説明をしてくれました。最初は、ガイドさんの立場を考えて少ししか補足してくれませんでしたが、徐々に詳しくなり、ガイドさんも一緒にその人の話を聞きながら周ることになりました。

この人は一体何者なのだろうかと言う疑問が湧いてきて、それとなく聞いたところによると、東京に住んでいて最近糸島市に戻ってきたことや東京に住んでいた時には東京国立博物館にたまに行っていたことなどを教えてくれました。

そして、「どうして、そんなに詳しいの?」という質問に対して、彼は

「松本清張の神々の乱心を読んだことがきっかけになった」とだけ教えてくれました。

その本には何が書いてるのだろう。その本を読めば詳しくなるのだろうか。そんなことが頭を駆け巡り、そして僕も読み始めました。

もともと小説はあまり読まない人だからか、しばらく読んでいると意識不明になってしまい、なかなか進みませんでした。上巻の半分くらいまで読んだところで旅に出てしまい、帰ってきた時には、すっかり内容を忘れてしまっているので、また最初から読むということを2度繰り返していました。

今回、3度目で最後まで読み切ろうと頑張りました。上巻は、やはり数度、意識不明になってしまいましたが、下巻は、一気に読み切りました。

この本は、歴史的な事実にフィクションを織り交ぜて書かれた小説でした。ただし松本清張の絶筆となった本のひとつであることもあり、小説としての終わり方が自分にとっては今ひとつでした。

しかし、旅を通して覚えた単語や場所などが、たくさん出てくる本でした。それは10や20ではなく、もっとたくさん出てくるのです。こんな本は今まで出会ったことがありませんでした。しかも、1年前に読んでいたら、この部分はサラッと読み飛ばしていただろうなというところがたくさんありました。引っかかる単語がたくさんあるのです。

彼の言った「この本がきっかけになった」というのもわかるなと思いました。興味のある方は読んでみられたらいかがでしょうか。

「松本清張は、きっと知ってたんだよ」という彼の言葉が改めて思い出されました。また、会えたら話をしてみたい人のひとりであります。

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