土佐清水市の竜串海岸(たつくしかいがん)を紹介します。これまでいろいろなところで奇岩を観てきましたけれども、1箇所でこれほど多くの奇岩を観ることができるところはありませんでした。ここは地学教材の宝庫です。
(注意)ブツブツや小さな穴の集合体を恐れるトライポフォビア(集合体恐怖症)の方にとっては苦手に感じる画像がある可能性があります。
車は土佐清水市にある竜串市営駐車場に駐めます。地図を載せておきます。
ここには竜串観光案内所があります。(写真のハイエースの向こう側です)ここで竜串海岸に関するガイドマップを入手して散策を始めると良いと思います。ただし、8時過ぎの時点ではまだ開いていませんでした。
この海のギャラリーの建物の左側から遊歩道に入って行きます。
竜串漁港を左手に見ながら歩いていくと
堤防があります。(ここまで駐車場から徒歩3分)
この堤防を越えると、そこは見たこともない奇岩の世界です。
ここ竜串海岸には砂岩層の発達した約1700万年前の砂岩・泥岩互層が分布しています。その岩盤にはタフォニと呼ばれる蜂の巣構造の岩肌がたくさんあります。
また、いったいどうやったら、このような岩になるのだろうと思うような景色をたくさん観ることができます。
ところどころにノジュールと呼ばれる団塊を見つけることができます。
木星の表面の縞模様によく似ていると思いました。
ちなみに海は海で、これまたきれいな色をしています。
今日は曇ですが、晴れていたら「木星の表面の縞模様と瑠璃色の地球のハーモニー」と題した写真が撮れたかもしれません(笑)
余計なことは、これくらいにして先に行きましょう。ここの地形は凄いです。硬い岩の地層がぐにゃりと曲がっているのです。
平らな部分です。(木星の表面にしか見えなくなってしまいました)
その行き着く先は、このようになっていました。
ユーラシアプレート(四国)を押しているフィリピン海プレートの力によるものなんですかね。
これはノジュールの一種でしょうか。
たくさんあります。
「欄間岩」と名付けられた地層です。ぐにゃぐにゃした地層は、海底で起きた地滑りや地震による液状化によってできたと考えられています。
海の中にもいろいろな地層がありそうです。
本当に観ていて飽きないところです。
下を見ると石ころだと思っていたものが珊瑚のカケラだったりします。
このノジュールも面白いです。100円玉より少し大きいくらいの大きさです。取れそうで取れません。
天空のラピュタに出てくるロボット兵のような石もありました。
このオレンジの地層は、なぜここに転がってしまったのでしょうか。波の力は凄いと改めて思いました。
もはや何でもあり状態になってきました。ちょっとやそっとでは驚かなくなってきました。
大竹小竹と名付けられた岩です。砂岩で出来ていて竹の節に相当する部分は地層の割れ目を流れた地下水の働きによって硬くなった部分と言われています。
こちらは絞り幕と名付けられた岩です。うまく名前を付けるものだと思いました。
この日は、いったい何回「おー」「すげー」と発したことでしょうか。このような旅は大好きです。
とても抱えられる大きさではないのですが、小さかったら持って帰りたいくらい美しい造形だと思います。自然が作ったウエハースとでも名付けましょうか。
これまた、面白いものを見つけました。このノジュール自体も面白いのですが、周りの砂岩が柔らかい時に埋められたのではないかというような跡を残しています。これはよく見ると節理が見えるので、この節理を中心に同心円状に酸化鉄や酸化マンガンが付着しているものと思います。
誰だ、犬の散歩をさせて後始末をしないのはと思っていたところ、なんと生痕化石でした。室戸市にある新村遊歩道でやっと探し当てた生痕化石がこんなところに転がっていました。
しかも、こんなにたくさんです(笑)
ちなみに生痕化石には生痕化石学という学術分野があります。生痕化石には、巣、巣穴、棲管、食痕、這い跡、足跡などたくさんあって、ちょっとかじっただけでは何の跡かを識別するのは無理だとわかりました。ここ竜串海岸にある生痕化石は、アナジャコ類の巣の跡が化石になったものと言われています。
本当に時間を忘れてしまうところです。
タフォニとノジュールのコラボです。苦手な人には極めて苦手な光景だと思います。
ここまで来るとアートです。
天の橋だてと名付けられた岩です。どこがそうなのかはわかりませんでした。
鯨が横たわっているみたいです。
極め付けがありました。
かぶと岩と言われています。ノジュールが兜のようだからだと思います。
このような自然の造形を自由に観ることができるのはありがたいのですが、何の保護もなく放置されていて良いのだろうかと思ってしまいます。
座頭の昼寝石です。
どこから観ても同じように見えることから不背山と呼ばれている岩です。
生痕化石の上を踏みつけないと歩けない状態です。
アナジャコ類の巣は50cmから長い物で3mくらいになります。しかし生痕化石が残るかどうかは堆積物の硬さに依存するため長いものは珍しいと思います。ここには長いものがありました。(比較のために10円玉を置きました)
遊歩道を抜けると桜浜と呼ばれる浜辺があります。かつては桜貝でピンク色をしていた浜です。
楽しい時間は、あっという間に終わってしまいました。
人間は生きて100年くらいですが、もっと長い目で地球を見ることができて、しかも早送りで見ることができれば、地球は生きているんだということを実感できるに違いありません。地球もりっぱな生き物で絶えず成長し、その姿を変えているのだと思います。そんなことを考えさせてくれる場所でした。
ぜひ、ご自分の目でご覧いただくことをおすすめします。